・敷金返還請求権に差押
敷金は、通説によれば賃借物の明渡しを条件とする金銭の所有権移転の合
意と考えられています。
したがって、賃貸人は、賃借人が賃貸家屋の明渡しを受けるまでに負担しな
ければならない未払賃料や修繕費等につき、敷金をもって充当することがで
き、賃借人の明渡し後に、これらを清算のうえで残金を返還すればよく、賃借
人はこの残金について返還請求権をもっていることになります (敷金返還請求
権)。
他方、敷金返還請求権に賃借人の債権者から差押がなされると、賃貸人がこ
の差押を無視して賃借人に敷金を返還しても、差押債権者に対して、改めて
敷金を支払わなければならないことになります (民事執行法145条)。
また、敷金返還請求権に賃借人の債権者による質権が設定されている場合、
賃貸人が質権を無視して賃借人に敷金を返還しても、これを質権者に対抗で
きません。
このように、賃貸人は、敷金についても、賃借人の債権者等に対する対応に
際して、いろいろ注意しなければならないことがあります。
・賃貸家屋明渡し後の対応
この段階では、すでに具体的な敷金返還請求権が発生していることとなります。
したがって、賃貸人は、賃借人の債権者や質権者からの請求に対して応じる
必要が出てきます。
